研究活動

2023年10月26日(木)2年体育「スイング鉄棒」

 単元構想について

 本実践では,児童が主体的に学習に取り組むための手立てとして以下の3つを行った。

①スモールステップ
 鉄棒に対して興味関心をもち,スモールステップで目標をもって学んでいけるようにストーリー性をもたせ,課題を設定する。
・ぶら下がる(5秒間ピタッと静止する)→ワニから逃げる
・補助スイング(5往復鉄棒にぶら下がりながら補助ありで体を振る)→みんなでワニを追い払う
・スイング(5往復鉄棒にぶら下がりながら体を振る)→1人でワニを追い払う
・より大きいスイング(より高いところにあるバーを落とす)→ワニを助ける

②グループでのかかわり
 仲間の動きを見合ったり,支え合ったりすることで,安心して学べる環境を作り,粘り強く挑戦できるきっかけになるようにする。また,仲間の動きや身体の様子を見ることで,自分の考えが更新されたり新しい課題を発見したりすることができるようにする。
・補助
 ぶら下がった状態から,安全を気にしながら仲間の体を持ち,無理のないようにスイングを補助する。
・口伴奏
 鉄棒上の支持やスイングをする際に,「ワニが来た,せーの,1,2,3,4,5,そーっと着地。」という口伴奏を行う。口伴奏を行うことで,動きの開始と終了を合わせることや,着地時の安全面をねらいとする。また仲間の動きを見るきっかけにする。
・ペアでの振り返り(ホメホメタイム)
 自分のめあてをペアに話し,最後にペアで振り返りをする時間をとる。振り返るときのきまりとしてお互いに肯定的な声かけをすることとする。

③動きや身体の様子を捉えるための視点の提示
 めざす動きにつなげるために,動きや身体の様子を捉えるための視点を与える。

⑴どこを動かすのか

⑵どこに力を入れるのか

⑶どこを見るのか

⑷体を動かしたり力を入れたりするタイミングはいつか

といった自分の動きを捉えるための視点を提示する。教師はこの視点について繰り返し問うことで,その動きをした時どこを意識したのか,どんな感じだったのか,自分の動きや身体の様子を感じ取り,次はこうしてみようと動きを改善することを促す。

 

本時の様子について

 導入では,「ワニには子ワニがいて,バーに閉じ込められてしまった。みんなのスイングの力で助けよう。」とバー落としを提示し,より高いところのバーを落とすことを促すことで,「大きくスイングしよう」と目標を持って取り組めるようにした。その方法としてどこを動かすのかやどこに力を入れるか(抜くか)に着目させることで,スイングするためにあごを上げたりとじたりすること、お腹にギュッと力を入れることが大切などと,見通しをもって課題に取り組めるようにした。
 次にグループで課題に取り組んだ。大きく振るためにあごを意識する児童が多くいたが、頭をただ振る児童もいた。グループ活動後,全体で大きく振れている児童の演示を見た。そして体を動かしたり力を入れたりするタイミングはいつかを問い,全体で共有した。タイミングがわかりやすいように,「(あごを)とじる,上げる」などの口伴奏をすることで,動きやタイミングを意識できるように促した。

 2回目のグループ活動では、口伴奏をして取り組んだ。「あごの動きを意識した。」など自分の動きや身体の様子を感じ取ろうとしている児童もいたが,あごの動かすタイミングがつかめない児童が多くいた。

討議会の様子について

 討議会では、「エンゲージメントを表出する手立て」として,動きや身体の様子を捉えるための視点の提示が適切であったかに重きを置いた討議となった。

 あごを動かしたり,お腹に力を入れたりすることのよさを感じていない段階で「タイミング」の視点を取り入れたことで,難しさを感じさせてしまったのではないかという意見や,低学年なので動きを高める視点を教師が出すのではなく,子どもたちの気づきをまとめていく方が意欲を維持できたのではないかという意見が挙がった。

 

 

関連する研究活動