研究活動

2021年10月22日(金)国語1年「じどう車くらべ」

 本実践では、大きく分けて2つの力を育むことをねらいとしている。

  1つ目は、ふだんから子供たちの身近にある車の「しごと」と「つくり」に着目して「じどう車くらべ」を読むことで、説明文の文章構成や、事例の順序について考える国語科としての力である。

  2つ目は、自分が調べたい,知らせたい自動車を作る活動を、算数科と図画工作科の知識・理解を活かして行うことで、対象を観察する力・創り出す力である。つまり、教科固有の資質・能力と、複合的な教科の基盤として育まれる資質・能力のことである。

 第1次では、これまで学習した「くちばし」「うみのかくれんぼ」を振り返りながら、「じどう車くらべ」は何を比べているのかを予想した。多岐にわたる答えが挙げられたが、教科書には「しごと」と「つくり」しかない。すると、「つくり」の意味を調べ、「つくり」の違いがもっとたくさんあるのではないか、との声が挙がり、「しごと」と「つくり」について調べ、実際にいろいろな自動車を作ってみようという学習課題を確認した。

 また、学習と並行しながら自動車調べを行っていった。

 第2次で内容の大体を捉える際には、3つの自動車の「しごと」と「つくり」を読み取った後に、その自動車の絵を短い時間で描く活動を行った。共有する際には、その自動車特有の「つくり」が描けているかを意識しながら見せ合うことで、対象を観察する力を育むようにした。

 国語の授業と並行して行う算数の授業では、「かたちあそび」の学習内で、たくさんの箱を高く積んだり、転がしたりして、形の特徴を捉えた。具体物を扱って操作の中で、「広いからたくさんのせれるよ。」「丸いところがあるとたくさん転がるよ。」などの気づきが生まれた。実際に具体物に触れることで、単に特徴を知るのではなく、その特徴の良さについても実感する様子が見られた。

 そして、第3次では、図画工作科の「はことはこをくみあわせて」の学習と併せて自動車を作成する活動を行なった。使用する箱は算数の時間に使用した箱を使ったため、自分が作りたいものにあった箱があるわけではない。限られた材料の中で、自分が作りたい自動車にするためには、どのように箱を組み合わせたら良いかを班で話し合いながら製作する時間を設けた。友達の箱を借りたり、友達の自動車に合いそうな箱を渡す姿も見られた。

 さらに、箱を使うことで、平面的な目で自動車を捉えるのではなく、立体的に見ることが必要になってくる。そうすることで、再度箱の特徴を捉え直すことや、箱の形を「しごと」と結びつける想像力を働かせることをねらいとした。

 完成した自動車は、見せるだけでなく、動かしながら紹介することで、自動車の「しごと」をより想像しやすくなるように発表している様子も見られた。

 このように、国語科の学習の中で育んだ観察の目と、算数科や図画工作科の知識・理解を用いて生成物を創り出す活動は、学びの実感をもたせる有用性があった。

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