研究活動

2020年11月19日(木)総合5年「スマイルプロジェクト」

 「福祉」をテーマに学習を進める中、阿倍野区に住まれる高齢者の方から生活の様子についてお話を聞く機会がありました。そのお話の中で、コロナ禍によって、これまで、できていたことができない現状があることや、それによって、笑顔を見る機会が少なくなってきているというお話を聞きました。

 本単元のテーマ「スマイルプロジェクト」とは、このような現状を乗り越え、一人でも多くの高齢者の方に笑顔になってもらうため、自分たちにできることを考え、実行していこうとする取り組みです。

 総合では、このように自分にできることを考え、表現する学習プランが計画されます。しかし、子ども自身が自分の考えた「アイデア」を反省的に見直したり、またそれを改善し、作り直したりすることは容易なことではありません。

 そこでまず、アイデアを形にしたり、容易に作り直すための道具として本実践では、プログラミング教材「MESH」を活用しました。「MESH」とは、「LED」,「ボタン」,「人感」,「動き」,「明るさ」,「温度・湿度」のブロック同士やiPadのスピーカー機能やカメラ機能を組み合わせ、実際に日常生活で応用することできるプログラミング教材です。また,iPadで直感的な操作により,プログラミングができるため,何度でも作り変えることができます。子どもたちが考えたアイデアとして、「コロナ禍でも運動することができるアイデア」や「高齢者の趣味につながるアイデア」、「認知症を予防するためのレクリエーションゲーム」等、多様なものを制作することができました。

 本時では、自分の成果物を見直す場面を設定しました。教師からの見直そうではなく、子ども自身から問いが生まれるような状況をつくるため、知識構成型ジグソー法を用いてグループ対話を行いました。一般的に使われてるジグソー法では、エキスパートグループで深めてきた知識をそれぞれが持ち寄り、問題の本質を深めていこうとする「思考の深まり」を目的として用いられてきました。

 対して本時では、自分の考えたアイデアを異なる視点をもった他者からの質問や批評によって見直そうとする「思考の拡張」を目的として活用しました。子どもの意見として、「ボタンを押したらラジオ体操が流れる仕組みを考えたけど、友達の意見を聞いて、本当に役に立つか分からなくなった。」「他のグループのMESHブロックを使うと、もっといいものができそう。」と自分のアイデアを捉え直す姿が見られました。

 授業後の討議会では、ジグソー法という手段だけでなく、改善する必要があるという子どもの声を指導者が強調するような支援の在り方や総合では特に対象を自分事と捉えることが重要であり、そのための単元構成の在り方について議論が深まりました。

 

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