9/25 朝礼台
4年生
もう15年前の話である。
徳島県鳴門市で学生時代を過ごしていた若かりし自身の振り返りをここに綴ろうと思う。
教員を志していた私は、必修単位である「教育実習」を履修すべく実習校に居た。
ガイダンスが始まると、間もなく「実習生代表の挨拶をする人」を決める時間がやってきた。
紛れもなく、その大役を決める際、時が止まるような感覚を覚えた。
「誰がやるんだろうか。」
声にはならない、でも確かに多くの実習生の心の声が聞こえ、部屋に反響した。
その空気を察知した私は、自身の意思とは関係なく手を挙げていた。
そう、“気づけば“手を挙げていたのである。
これは、中学2年生の頃の生徒会に立候補した時の成功体験が背中を押してくれたように思う。
しかし、この一瞬のヒーロー気取りの行為のあとには、少しばかしの後悔と大きな不安が必ずやってくる。
今でこそ、この不安な気持ちは、行動を起こす源になる大切な感情と認識しているが、当時の自分はそのように受け止められることができなかった。
大役が決まってから私の頭の中は、
なにを話そうか、どのように話そうか、と悩みがずっと巡っていた。
そして、あいさつ当日を迎えた。
なぜこんなにも早く日が立つように感じるのだろうかと不思議に感じた記憶がある。
600人の児童と30名の教員の前で、朝礼台に立ってのあいさつ。
こんなにも大勢の人の前で話す舞台は、生まれて初めてだった。
そんな時に、一つ目の悪魔が私を襲う。
朝礼台に登る前から、足が震えていることに気がついた。
ここまで自分を緊張させていた悪魔の正体がわからなかった。
心よりも先に体がその状況に反応してしまっていたようだ。
と、同時に私の身にさらなる悲劇が起きた。
準備していた言葉が、その日の綺麗に晴れた空に飛んでいってしまったのである。
私は、朝礼台の前で足がすくみ、時が止まったようにただただ立っていた。
その静かな時間は、体感では5分。いや、10分にも感じた。
あとで友人に確認すると、10秒ほど、止まっていたようだ。
10秒は、“まあまあ心配になる“時間である。
きっと周囲の皆さんにご心配をおかけしたことだろう。
あいさつの出来はさておき、あとで実習担当の先生に、立候補したことをお褒めいただいたことも鮮明に覚えている。
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今でこそ、この「ほろ苦く青々とした経験」は今の自分を成す一つの大切なピースとなり、自分を強くしてくれたんだなと受け止めています。
「積極的に取り組むこと」
「失敗しても前向きに考えること」
今、附天小にいる実習生の皆さんも体現していると思います。
子供達の素直な反応から謙虚に学び、
真剣に準備し、
明るく元気に子供達と関わろうとしています。
ともに過ごせる時間があと2日となりました。
実習生の先生方と146期生みんながこの出会いから少しでも多くのことを学べることと、実習の先生方が近い将来、この国の教育に関わってもらえたらなという願い込めて、本日のホームページを締め括らせていただきます。
ありがとうございました。
内堀 友寛