コミュニケーションツールとしての「スモッグ」
2020年度
今日持ち帰った、子どもたちの図工用スモッグは、絵の具がたくさんついていたかもしれません。さて、そのとき、どんな声をかけられましたか?
「こんなに汚して、いったい何をしたの!?」と怒ってしまいましたか? 驚きましたか? 不思議に思いましたか?
ここでの正解は「家では、なかなかできない経験をしたんだろうなぁ」と、どんなことをしたのかを、お子様に「何をしたの?教えて!」と、問いかけていただくことです。
ご自宅で、絵の具がたっぷりつくような活動は、なかなかできません。でも、学校なら、できます。本校でスモッグを着用して図工を行うのは、制服を汚さないため、という理由からですが、裏を返せば「お洋服が汚れてしまうような活動を行う可能性がある」ということです。ですから、スモッグが汚れているときは「きっと、おうちではできないような楽しい活動をしたんだろうなあ」と想像していただき、お子様に、どんなことをしたのか、お話を聞いてみてください。
前回の図工では、『つなげる』をキーワードにして、のりで『つなげる』こと、テープで『つなげる』こと、ホッチキスで『つなげる』こと、ひもやスズランテープで『つなげる』ことをしました。
その後、「何か、ほかにも『つなげる』ために使える物が、あるかな?おうちでも見つけてごらん」と声をかけました。
すると、翌週、『つなげる』ために、「モール」「リボン」「クリップ」「磁石」等、おうちで見つけたものを持ってきている子がいました。リボンを通す穴を開けるために、穴あけパンチを持ってきた子もいました。
これは、宿題ではないので、HPでも、連絡帳でも「つなげるために必要な物を持たせて下さい」と連絡はしませんでした。あくまでも、子どもたちが、自ら、家で「こんな勉強したんだよ。で、こんな物を探さなくちゃいけないんだ。」と話したり、自分で見つけてきたりすることを重視したためです。
このように書くと、これから、おうちで「今日は何をしたの?」「何か持って行かないといけないものはない?」と、お話を聞きださなくては!と思われるかもしれませんが、それも、間違いです。
お子様が話したくなるように、学校の様子を「聞く」ことは、保護者の方の力です。「聞き出す」のでなく、「聞く」場を持つ、コミュニケーションの時間を持つ、ということです。
しかしながら、子どもはそれぞれですから、なかなか話さない子もいるでしょう。そのような場合も、慌てず「うちの子は、あまり学校の様子を話してくれないな」ということを受け入れ、焦らず、見守ってあげてください。尋問のように聞き出すことは、子どもの「話したくない」という気持ちを助長してしまいます。
お子様自身が話してくれなくても、学校に来られた時に、授業の様子、掲示物などから、保護者の方自身が、想像することもできるでしょう。その上で「この前、こんなことしたんだね。」とお子様に、話す機会を具体的に、タイミングよく与えることもできるかと思います。
毎週持ち帰る、スモッグや体操服のようすをきっかけの1つにして、ぜひ、お子様の学校生活の様子について、たくさんお話を聞いてあげて下さい。