研究活動

2020年12月10日(木)社会4年 「地域の発てんにつくした人たち」

 「教科横断的な視点」を取り入れる今年度の研究授業として、本時では大阪市の都市開発について考える授業に取り組みました。

 本単元は、まず、江戸時代、大規模な水害で悩まされていた当時の大阪府の南河内で行われた「大和川の付け替え工事」の経緯と背景を学習しました。そこには、川の付け替えに賛成する人と反対する人とが存在し、お互いのその思いの切実さもあり、最初の付け替えの訴えから45年の月日を経ての竣工でした。川の付け替えによって恩恵を受けるもの、反対に何らかの損害を受けるものを対比的に並べることで、様々な開発には「光と影」があるという社会的な見方・考え方を学びました。

 次に、本時では大阪市の近未来の開発に目を移しました。youtube動画「大阪再開発妄想MAP」を視聴すると、これからの5年くらいの間に高層ビル化が著しく進むことがわかりました。児童に「この開発の光と影は?」を発問すると、光は大阪に人が増え、お金(経済)が潤うという観点での予想を述べ、影については「ヒートアイランドが進む」「温暖化が進む」という観点での予想が述べられました。

 これは前時に、「ヒートアイランド」「地球温暖化」などの話や「植物が二炭化酸素を吸収し酸素を出す」「自然エネルギー」などの6年生理科の知識を先行的に学習したからです。そして、本時の主発問「より良い開発にするには?」を行いました。10~20年後、自分たちがその街で働いているかもしれない…という話を交えることで、児童の課題解決への主体性を引き出そうとしました。また、補助教材として、ビルの構造やビルの間の空間に課題解決のアイディアを書き加えられる用紙を用意しました。アイディアには、

「ビルとビルの間に橋のような通路を作って日かげを作る」

「付け加えで、その通路の下に巨大な扇風機をつけて、風を送ると」

「ビルの壁をグリーンカーテンにする」

「それらに加えて、南側の窓をシャッターで閉めて光が反射しないようにする」

など、自分のアイディアを絵に表して発想していきました。

 最後に、シンガポールの都市開発にビルの緑化計画が国策として進んでいる事実を伝え、「みなさんの発想は、実際に行われているものもありましたね。」という話をしました。

 討議会では、「都市開発の影の部分を補うという観点だけでなく、光の部分も共存するという観点にまで発展させてもよかったのではないか」という指摘がありました。より児童の発想を伸びやかにする場設定や授業展開を洗練させていくために、拡張的学習を意識した授業を普段の授業から取り入れていくことがこれからの課題として残りました。

  

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